お金と心理の関係についての面白い実験があります。
レストランで「$20.00」と書いたメニューと、「20.00」とだけ書いたメニューを使い、どちらの方が売り上げが上がったかという簡単なものです。
結果は「20.00」とだけ書いたメニューを使った時の方が、大幅に売り上げが伸びました。頭の中でお金だという事は分かっていますが、「$」がないことでお金を払うという行動が心理的に響かず、簡単にお金を使ってしまったという訳です。
お金をお金と感じさせないというのは多くの企業が戦略的に取り入れています。日本の外資系のホテルでは先ほどのようなメニューを導入しているところもありますし、メニュー以外でも下記のようなものがあります。
・カジノでお金をメダルに換金させる
・商品の返金をする際はポイントで返金する
このポイント制度については少し複雑です。
商品の返金などをする際にポイントで変換することがあるじゃないですか?
そうすることによって、人はポイントをお金と捉えにくいのでどんどん購入してしまう訳です。お金で返金していたら起こらない事象ですよね。
また、ポイント変換にすることによってまた自社の商品を買ってもらように仕向けるという狙いももちろんあります。
#ポイントなら即日返金できるという謎の絶対
目標勾配効果
目標に近づくにつれて、行動や努力を加速させる効果を目標勾配効果と言います。これがかなり強力なのですが、上手く取り入れているものの代表例がスタンプカードです。
スタンプカードは溜めれば溜める程、最後まで溜めたい!と思わせられるじゃないですか?
ただ、それをさらにうまく使った手法があります。
もしかすると体験したことがあるかもしれませんが、最初に2個や3個のスタンプを一気に押されたことはありませんか?
いきなり2個のスタンプを貰えると、無料でもらえたことに対するポジティブアフェクトが働きます。さらにさらに、ゴールまで一気に近づいたように感じさせられる効果があります。
#これが目標勾配効果
極端な話ですが、10個のスタンプを溜めたら景品がもらえるスタンプカードがあったとします。
1つ目はシンプルに10個の空欄があり、初回はそこに一つのスタンプが押されるもの。
2つ目は、20個の空欄があり、初回は11個のスタンプが押されるもの。どちらも残りのスタンプ数は同じですが、2つ目の方がゴールに近づいている感じがしませんか。
スタンプカード上では半分以上のスタンプが押された状態ですからね。
#しかも今日は特別ですとか言われたら
店側としては、溜めてもらうスタンプの数は同じなのでプラスマイナスはありません。ですが、半分以上押されたポイントカードを持っている消費者は目標勾配効果が働き、最後までポイントを溜めようと足繁くお店に通ってくれるという訳です。
ポイントカードで最初にいくつかのスタンプを押すことは、ポジティブアフェクトと目標勾配効果を上手く利用した手法だと言えますね。
#僕も一回だけ最初に2個のスタンプを押されたことがあります
#あの時は何でだろうと思ってましたが
最後にこの目標勾配効果をビジネスに落とし込む方法を考えてみます。これは自分自身にも使えますし、仕事をお願いするときにも使えると思います。
例えばこなすべき仕事が20あれば、最初に簡単な仕事をこなして20の内半分が達成された状態にすれば、目標勾配効果が働き自然とやる気が出てきます。
仕事を依頼するときも、あえて簡単な仕事を足したうえで「この10の仕事をお願いしますね」と言い、最初に簡単なものからやって貰えば、相手にもこの効果を与えることが可能です。
仕事の頼み述みたいなものですね。
ぜひ参考にしてみてください。
それでは、良いポイントカードライフを!
#目標勾配効果 #ポジティブアフェクト #行動経済学 #ポイントカード #ポイント還元
参考文献
目標勾配効果 (Goal Gradient Effect) とは 意味/解説 | UX心理用語 - 松下村塾